勉強が苦手な中学生への指導方針
学校ワークを活用した演習量改善マニュアル

このページは、群馬県家庭教師センターにて中学生を指導する先生向けのマニュアルです。

特に、勉強が苦手な生徒様や、定期テストで思うように点数が取れていない生徒様を担当する際に意識していただきたい考え方をまとめています。

結論:
勉強が苦手な中学生の多くは、理解力そのものよりも、まず演習量が圧倒的に不足していることが多いです。
その演習量不足を改善するために、学校ワークを日常学習に組み込み、「ワークは3周するもの」という認識を少しずつ定着させていきます。

1. よくある課題

勉強が苦手な生徒様には、次のような状況がよく見られます。

こうした状態では、授業中に分かりやすく解説しても、なかなか点数にはつながりません。

なぜなら、テストで点を取るには「分かる」だけでなく、実際に自分で問題を解く経験が必要だからです。

2. 指導の基本方針

勉強が苦手な生徒様への指導では、以下を基本方針としてください。

  1. ・学校ワークを日常学習に組み込む
  2. ・学校ワークは3周するものだと伝える
  3. ・生徒様のレベルに合わせて、先生が「やる問題」を選ぶ
  4. ・基本問題を最優先する
  5. ・応用問題は必要に応じて扱い方を変える
  6. ・テスト前は「ワークを終わらせる期間」ではなく「復習する期間」にする

家庭教師の役割は、問題を解説することだけではありません。

特に勉強が苦手な生徒様に対しては、「何を、いつ、どのくらいやるか」を一緒に管理することが非常に重要です。

3. 学校ワークは「テスト前に終わらせるもの」ではない

多くの生徒様は、学校ワークをテスト前にまとめて終わらせようとします。

よくない流れ
  • ・普段は学校ワークを進めない
  • ・テスト前に提出範囲が発表される
  • ・終わっていないページが多くて焦る
  • ・分からない問題は答えを写す
  • ・提出はできるが、内容は定着していない
  • ・テストで点数が取れない

これでは、学校ワークが「勉強道具」ではなく「提出物」になってしまいます。

中学生の場合、学校ワークは提出物として内申点にも関わるため、やらないという選択肢は基本的にありません。

だからこそ、学校ワークを日常学習に組み込み、テスト前に慌てて終わらせる状態を避ける必要があります。

目指したい流れ
  • ・学校で習った単元に合わせて、その週のうちに学校ワークを進める
  • ・授業時に先生が進捗を確認する
  • ・テスト2週間前には1周目を終えている状態を目指す
  • ・テスト前は間違えた問題の解き直しに時間を使う
  • ・提出物も完成し、テスト勉強にもなる

4. 学校ワークは「3周するもの」と伝える

勉強が苦手な生徒様ほど、「ワークを1回終わらせたら勉強完了」と考えがちです。

しかし、1回解いただけで定着する生徒様は多くありません。

先生からは、できるだけ早い段階で次の考え方を伝えてください。

学校ワークは1周で終わりではありません。
3周して、初めてテスト勉強になります。
周回 目的 やること
1周目 現状確認 まず自力で解く。分からない問題・間違えた問題に印をつける。
2周目 弱点補強 1周目で間違えた問題だけ解き直す。
3周目 定着確認 2周目でも怪しかった問題をもう一度解く。

すべての問題を3回解く必要はありません。

大切なのは、できなかった問題を放置しないことです。

5. 先生が「やる問題・やらない問題」をコントロールする

勉強が苦手な生徒様に対して、学校ワークを最初から最後まで同じ重みで取り組ませる必要はありません。

特に平均点を目指す段階の生徒様にとっては、応用問題に長時間使うよりも、基本問題を確実に解けるようにする方が点数につながりやすいです。

勉強が苦手な生徒様ほど、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」を先生が判断することが大切です。
優先度 問題の種類 扱い方
基本問題・確認問題・計算問題 必ず自力で解けるようにする。2周、3周の対象。
標準問題 基本ができている場合に取り組む。できなければ先生が解説。
応用問題・発展問題 生徒様のレベルにより取捨選択。無理に時間をかけすぎない。

6. 応用問題の扱い方

応用問題は大切ですが、生徒様の状況によっては優先順位を下げるべき場合があります。

例えば、基本問題がまだ不安定な状態で応用問題に20分、30分とかけてしまうと、結果的に演習量が減ってしまいます。

そのため、先生が次のようにルールを決めてあげてください。

応用問題のルール例
  • ・基本問題は必ず自力で解く
  • ・応用問題は5分考えて分からなければ解説を見る
  • ・解説を見た後、赤ペンで考え方を確認する
  • ・提出が必要な場合は、空欄で出さない
  • ・ただし、応用問題に時間を使いすぎない

目的は、応用問題を軽視することではありません。

あくまで、生徒様の現状に合わせて、限られた時間を最も点数につながりやすい部分に使うためです。

7. テスト前は「ワークを終わらせる期間」ではなく「復習期間」

テスト前にワークを終わらせることに追われてしまうと、肝心の復習時間がなくなります。

本来、テスト前にやるべきことは以下です。

そのためには、テスト前の時点で学校ワークの1周目が終わっている必要があります。

目標:
テスト2週間前までに学校ワーク1周目を終える。
テスト前は2周目・3周目と暗記確認に時間を使う。

8. 授業内での具体的な進め方(ご参考)

60分授業・90分授業の中で、次のような流れを意識してください。開始時に前回の確認、終了前に次回までにやることを伝えるのがポイントです。
ただし、生徒の状況や学習環境によっても最適な時間の使い方は変わるため、あくまで参考になります。

60分授業の場合

時間 内容
5分 前回から今回までの学習状況確認
10分 学校ワーク・宿題の進捗確認
30分 基本問題を中心に演習・解説
10分 間違えた問題の整理
5分 次回までにやる問題を具体的に指定

90分授業の場合

時間 内容
10分 前回の宿題・学校ワーク進捗確認
15分 前回間違えた問題の再確認
40分 新しい単元・基本問題演習
15分 標準問題または苦手問題の演習
10分 次回までの学習計画作成

9. 宿題の出し方

勉強が苦手な生徒様に対して、大量の宿題を出しても継続できないことが多いです。

宿題は「量」よりも「具体性」と「確認のしやすさ」を重視してください。

避けたい宿題の出し方
  • ・数学のワークを進めておいて
  • ・英語を復習しておいて
  • ・テスト勉強しておいて
望ましい宿題の出し方
  • ・数学ワークP24の基本問題1〜6を解く
  • ・英単語プリントの1〜20を3回ずつ書く
  • ・理科ワークP18の一問一答だけやる
  • ・前回間違えた問題のうち、印をつけた3問だけ解き直す

次回授業では、必ず宿題の確認を行ってください。

「出すだけで確認しない宿題」は、勉強が苦手な生徒様にはあまり効果がありません。

10. 生徒様への声かけ例

勉強が苦手な生徒様には、責めるよりも、勉強のやり方を一緒に整理する声かけが有効です。

場面 声かけ例
ワークが進んでいない時 「テスト前にまとめてやると大変だから、今のうちに少しずつ進めよう」
答えを写していそうな時 「答えを見るのは悪いことじゃないけど、見た後に“なぜそうなるか”を確認しよう」
応用問題で止まっている時 「この問題は今は時間をかけすぎなくて大丈夫。まず基本問題を確実にしよう」
基本問題ができた時 「ここができるようになると、テストで取れる点数がかなり増えるよ」
宿題を少しでもやってきた時 「ちゃんと進められているね。このペースを続けられるとかなり良いよ」

11. 保護者様への共有ポイント

必要に応じて、保護者様にも次のような内容を共有してください。

保護者様に対しては、「勉強していない」「答えを写している」と責める形ではなく、
「今後点数を伸ばすためには、学校ワークを日頃から進め、基本問題を繰り返すことが重要です」
という前向きな伝え方を意識してください。

12. 指導報告書に書いてほしいこと

勉強が苦手な生徒様の場合、指導報告書には単元名だけでなく、学習習慣やワーク進捗についても記載してください。

記載してほしい内容
  • ・学校ワークの進捗状況
  • ・宿題の実施状況
  • ・基本問題の定着度
  • ・答えを見ずに自力で解けたか
  • ・テスト前に提出物へ追われていないか
  • ・今後、どの問題を優先して取り組むべきか

まとめ

勉強が苦手な中学生にとって、成績が伸びない最大の原因は、単に理解力が低いからではありません。

多くの場合、自力で問題を解く演習量が圧倒的に不足していることが原因です。

そして、その演習量不足を改善するために最も身近で重要な教材が、学校ワークです。

先生に意識していただきたいこと
  • ・学校ワークを日常学習に組み込む
  • ・ワークは3周するものだと伝える
  • ・基本問題を最優先する
  • ・応用問題は生徒様のレベルに応じて取捨選択する
  • ・テスト前はワーク提出ではなく復習の時間にする
  • ・家庭教師は「教える人」だけでなく「学習管理者」でもある

生徒様の状況によって、最適な進め方は変わります。

ただし、勉強が苦手な生徒様ほど、先生が学習の優先順位を整理し、日々の演習量を増やすサポートをすることが重要です。

ぜひ日々のご指導の中で意識していただけますと幸いです。