情報I共通テストの対策と勉強法:合格に向けたポイントを徹底解説!

2022年4月に高校へ入学した生徒から、新学習指導要領に基づく授業がスタートしています。

それに伴い、2025年(令和7年)実施の共通テストから、出題科目や内容が大きく変わります。

変更の中で最もインパクトが大きいのは、情報Iの新設です。

本記事では、元ITエンジニアで「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」にも合格している代表吉田が、2025年(令和7年)実施の共通テストから新設される「情報I」の対策と勉強法について、合格に向けたポイントを徹底解説します。

目次

情報I共通テストとは? 概要やポイントをわかりやすく解説

情報Iで何を学ぶか

情報Iでは何を学ぶか?

新学習指導要領における「情報Ⅰ」では、以下の4つの内容を学習することになっています。

  • (1)情報社会の問題解決
  • (2)コミュニケーションと情報デザイン
  • (3)コンピュータとプログラミング
  • (4)情報通信ネットワークとデータの活用

このあと紹介する試作問題でも上記に対応した大問4つの構成になっていました。

情報Iは必修科目なので、全国全ての高校生がプログラミングを学ぶことになります。

大学入試への影響は?

上述の通り、2025年(令和7年)実施の共通テストから、国立大学を受験する場合、情報Iの受験が必須になります。

つまり情報Iの新設により、数十年続いた5教科7科目体制が6教科8科目に増えるということになります。

試験時間は60分、配点は100点です。

浪人生向けには、経過措置として「旧情報(仮)」が出題されます。

旧情報(仮)では、旧課程「社会と情報」「情報と科学」からの出題となります。

現行(旧)課程履修者は、新課程科目と経過措置科目どちらも選択することが可能で、新旧両課程の教科を混ぜて受験することが可能です。

引用:令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou/r7mondai.html

情報I共通テスト対策の効果的な勉強方法と学習リソース

情報I共通テスト対策の効果的な勉強法

まずは授業や教科書で基礎的な内容を理解することが大切ですが、英語や数学などより配点が高い科目がある中で、なかなか情報Iまで手が回らない人も多いと思います。

そんな人が、共通テストに向けて、基本を確認するための参考書は以下がおすすめです。

難しい用語についても噛み砕いて説明してくれており、プログラミングについても1章割いて説明してくれています。

問題によっては、実際にプログラミングを経験したことがないとイメージしづらいものもあるかもしれません。

そんなときはオンラインの実行環境をうまく使って、イメージを明確にしながら学習を進めましょう。

引用:paiza.IO https://paiza.io/projects/_mSdCSNk6W7m4nqKzu9pJg

また、座学で学ぶのがどうしても苦手という人にはNHKの高校講座もおすすめです。

教科書に出てくるテーマをより噛み砕いて授業をしてくれるので、苦手意識がある方でも楽しく学習できると思います。

引用:MHK高校講座 情報I https://www.nhk.or.jp/kokokoza/jouhou1/

問題を解くことで合格力アップ!情報I共通テスト試作問題を解説

共通テスト試作問題を解説

そんな「情報I」ですが、過去問対策をしようにも2025年から開始のテストであるため、どうしたら良いか迷ってしまうかもしれません。

そのような場合は、大学入試センターが発表している試作問題を解きましょう。

以下に試作問題とその回答が掲載されています

引用:令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou/r7mondai.html

なお試作問題を実際に解いたみた解説動画をYoutubeにUPしているので、こちらもぜひ参考にしながら理解を深めていただくと良いと思います。

※みづらい場合は画質を上げてみてください。

なお、試作問題の第3問はプログラミングの問題になっています。

問題の中で出てくるコードをPythonで書くと以下のようになります。

import math
 
def Maisu(kingaku):
    Kouka = [1,5,10,50,100]
    maisu = 0
    nokori = kingaku
    for i in range(4,-1,-1):
        maisu = maisu + math.floor( nokori/Kouka[i] )
        nokori = nokori % Kouka[i]
    return maisu
 
kakaku = 46
min_maisu = 100
for tsuri in range(0,100):
    shiharai = kakaku + tsuri
    maisu = Maisu(shiharai) + Maisu(tsuri)
    if maisu < min_maisu:
        min_maisu = maisu
print(min_maisu)

下記はpaiza.IOで実際に実行してみた際のキャプチャです。出力がちゃんと3になっています。

kakakuを色々変えてみても面白いと思います!

高得点を狙うための情報I共通テスト対策テクニックとコツ

高得点を狙うための情報I共通テスト対策テクニックとコツ

1.設問から読む

共通テスト全体の傾向でもありますが、情報Iでも「読解力」が問われるような長い日本語の文章が出題されています。

これを真面目に上から下まで読んでから解答しようとすると試験時間が足りなくなります。

まず設問を読むことで何を聞かれているのかを把握し、それを答えるためのヒントを文章の中から見つけるというやり方が良いと思います。

ぜひ試作問題や予想問題を解きながら、訓練しましょう。

2.数学(データの分析の分野)をしっかりと理解する

第2問の階級値、相対度数や第4問の箱ひげ図、負の相関、回帰直線、標準偏差、残差など試作問題ではかなりの数の統計用語がでてきています。

これらは数学IAの「データの分析」でも習う内容で、ここがちゃんと理解できていないと、解答が難しい問題もありました。

私も大学院では統計物理を専攻し、数値シミュレーションを研究手法に用いていたのでよくわかりますが、プログラミングと統計は切っても切り離せない関係にあります。

従って、本番の試験でも統計と絡めた問題が出題されることが予想されます。

統計は得意分野にしておくと数学にも情報Iにも効果があるので、苦手意識を持っている人は早めに対策をしておきましょう。

3.プログラミングの考え方を理解する

第3問のような問題はプログラミングの経験があるかないかで正答率に大きく差が出ると思います。

配列の情報の持ち方(要素は0番から持つことも多い)やループの回し方(iを4から0まで1つずつ減らしていく)などについても穴埋めで問われています。

もちろん、問題文に明記されているのでやったことがなくてもしっかりと熟読すれば正答できますが、やったことあるほうが有利なのは間違いありません。

やはり、できれば実際に手を動かしてプログラミングの感覚を掴んでおいて欲しいです。

なお、この手の問題が得意な人は「基本情報技術者試験」の午後問題「ソフトウェア開発」をやっておくと楽しいし、かなり自信もつくと思います。

「基本情報技術者試験」の過去問は下記ページから見ることができます。※CBT化により直近の年度のものはありません。

引用:基本情報技術者試験ドットコム https://www.fe-siken.com/

情報I共通テスト出題傾向の解析と各大学の動向

情報I共通テスト出題傾向の解析と各大学の動向

ここでは試作問題の解析(考察)と各大学の動向について紹介します。

大問1(配点20点)

大問1は小問集合です。高得点を目指すならば、ここでの取りこぼしは絶対に避けたいところです。

問1は情報リテラシーに関する問題でした。ここはいわば常識問題なので、サクッと確実に正解したいです。

問2はデータ通信のパリティビットに関する問題。基本情報技術者試験でもよく見る類の問題でした。こちらも確実に正解したいです。16進法→2進法への変換(逆も然り)は必ずできるようにしておきましょう。

問3は論理回路に関する問題。クで少し迷うかもしれませんが、焦らずパターンを当てはめて正解を導き出しましょう。

問4は情報の整理・分類の問題でした。ここは迷う要素もないと思うので確実にとりたいです。

大問2(配点30点)

A)二次元コードに関する興味深い問題でした。全体的に予備知識はいらない読解問題なので、満点を狙いたいところです。

問1は「なぜ二次元バーコードが普及したか」に関するでした。穴埋めの後の広く使われるようになったというところに注目すれば自ずと正解が導き出せるはず。

問2は「なぜ円形ではなく四角形を使うのか」という問題。ドットが四角形であることを思い出せれば四角形の方が適切なことに気がつけたのではないでしょうか。

ただし、もしこの知識がなかったとしても、消去法で2が選択できたと思います。

問3, 4も問題文をしっかりと理解できれいれば正答できる内容です。

B)待ち状況のシミュレーションに関する問題。この問題も面白いですね。

問1は乱数をもとに導き出した到着間隔に関する問題でした。表1と表2の関係性や表2をもとにして図1を正しく完成させられれば、正答できたと思います。

問2は図2がきちんと読み取れていればサクッと解けたのではないでしょうか。

問3はデータと分析の知識があると答えやすかったかもしれません。

対応時間が4分→3分に短縮されることで、最大待ち時間の最頻値が左に動くことが推測できれば、迷わず0を選択できたと思います。

大問3(配点25点)

いよいよプログラミングに関する問題です。題材も面白く、良い問題でした。

問1は金額を引数にとって、枚数を出す関数に関する問題。

最終的に最小硬貨交換枚数を計算するプログラムがほしいけど、まずはそこで使う関数をつくりたいという問題文の趣旨を理解した上で読み進めれば、難しい内容ではありませんでした。

問2では実際に関数をプログラミングしていきます。

誘導が丁寧にされているので、しっかりと活用しましょう。

上で述べた通り、配列の情報の持ち方やループの回し方のところなどプログラミングに慣れていると違和感なく取り組めたのではないでしょうか。

問3では最小硬貨交換枚数を計算するプログラムをプログラミングしていきます。

ここまでくれば、目的をきちんと理解していれば間違うことはないはずです。

大問4(配点25点)

データと分析に関する問題です。

問1は表1に朝や夜といった項目がないことに気がつけたかどうかがポイントです。

問2は四分位数ごとに25%になっているという箱ひげ図の性質をきちんと理解していないと正解できませんでした。

問3は図3が何を表しているのか読み取れたかどうかを試す問題です。

問4は負の相関の意味が理解できていれば正答できたはず。

問5は、Q県のデータより図5の回帰直線上の睡眠時間が図6にプロットされていることに気がつく必要がありました。最終問題で時間がない中で、冷静に問題文や図表を読み解く力が求められました。

各大学の動向

配点方針が続々と公表されていますが、特に目を引くのは以下の2つのトピックでしょう。

  • 北大・徳島大・香川大は受験を一般入試の出願要件とするが、配点しないとしている。
  • 電気通信大学は2次試験で「情報」、「物理」、「化学」の3科目のうち2科目を選択する科目選択制とするとしている。

アドミッションポリシーや浪人生への配慮などさまざまな事情がある中で、各大学横並びではなく色が出始めているのはわるいことではないと思います。

ただし、2022年10月12日に情報処理学会(情報処理教育委員会、情報入試委員会、初等中等教育委員会)から以下のような声明が出されていることは認識しておくべきだと思います。

 令和7年度入学者選抜(令和6年度実施)において、大学入学共通テストで「情報」を必須として課すにも関わらず、配点しないと予告した国立大学があります。本会は、このような不適切な入試を看過できず、すべての受験科目に適切な配点が行なわれることを強く求めます。

引用:大学入学共通テストで「情報」を必須としつつ配点しない入試に対する本会の見解https://www.ipsj.or.jp/release/20221012_opinion.html

なお、群馬県内の各国公立大学の方針は以下のとおりです。

まとめ

情報Iの疑問が解消された

本記事では、2025年入試から国立大志望には対策必須となった情報Iについて、合格に向けた対策と勉強法を詳しく説明しました。

情報Iってどんな試験内容なんだろう。

情報Iってどうやって勉強していけばいいんだろう。

と思っていた人も、共通テストに向けて疑問点を解消できましたか?

もしそうでしたら嬉しいです。

今後も参考問題や旧情報(仮)についてなど、最新の情報をお届けしてまいります。

また、当センターでは情報Iに向けた指導を承っております。

なるべく時間をかけずに、3ヶ月程度で高得点を狙えるプログラムを用意しておりますので、興味がある方はぜひこちらよりご連絡ください。

この記事の執筆者:吉田 圭佑(代表)
吉田 圭佑(代表)
これまで200人以上の生徒を指導してきました。試験科目全体を見据えた合格戦略の策定に自信ありです。◾️略歷:2004年 群馬県立中央中等入学(1期生)→2010年 慶應義塾大学理工学部入学→2014年 慶應義塾大学大学院入学→2016年 銀行系システム会社入社→2022年 同社退職&独立 ◾️保有資格:基本情報技術者、応用情報技術者、ディープラーニングG検定、TOEIC800点等
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